なぜASD受動型はサイレントフリーズするのか?要求を丸呑みする脳の生存戦略

なぜASD受動型はサイレントフリーズするのか?要求を丸呑みする脳の生存戦略

本記事は、ASD当事者である私が不条理な社会というクソゲーを生き抜くために脳内バグデバッグした結果をまとめたものです。
医学的・専門的なアドバイスではなく、あくまで個人の生存戦略としての記録であることをご了承ください。
――不条理な世界と互換性の無いOSから出力された、論理的且つ実戦的な検証データが、同じ仕様(アーキテクチャ)を持つあなたの脳の静寂をもたらす一助となれば幸いです。

NOと言えないあなたの「優しさ」が、なぜあなた自身を壊すのか?

​世の中には、いつも穏やかで、誰の意見にも反対せず、頼まれた仕事は絶対に断らない「ものすごくいい人」がいます。

いわゆる「ASD(自閉スペクトラム症)」の特性。

その中でも、主体的な自己主張をほとんどせず、周囲の環境や他人の指示にただ従い続けるのが「受動型」と呼ばれる特性です。

​「周りに合わせているだけなのに、なぜこんなに疲れるのか」
「なぜいつも都合よく使われてしまうのか」

​そんな風に、NOと言えない世界の中で、静かにエネルギーを吸い尽くされて摩耗しているあなたへ。

この記事では、あなたの脳内で起きている「要求を丸呑みするエミュレータ仕様」の仕組みを冷徹に解剖し、この理不尽な世界で自分自身をクラッシュさせずに生き抜くための生存戦略を、1対1の本音でお伝えします。

​ASD受動型の特徴と、他人の命令を丸呑みする「エミュレータ仕様」の罠

​ネットの海で「ASD 受動型」と検索してみてください。

そこには、これまでの尊大型や積極奇異型とは打って変わって、少し同情混じりな言葉が並んでいます。

「主体性がない」
「指示待ち人間」
「NOと言えずに都合のいい人として扱われる」

あなたが他人の意見に「いいですよ」と静かに従い、波風を立てずに生きる姿は、一見すると「従順で無害なパーツ」として社会に馴染んでいるように見えます。

​しかし、その脳内システムを冷徹に解剖していくと、恐ろしい真実が見えてきます。

​あなたは決して、心から納得して相手に従っているわけでも、何も考えていないわけでもありません。

その本質は、「外部(他人)から送られてきた命令や要求を拒否するファイアウォール(自己主張)を持たず、すべてのデータをそのまま内部で実行しようとする」という、過酷なエミュレータ(他OSの擬似実行環境)システムです。

​これまでに解説した尊大型は「正論で上書き」し、積極奇異型は「データをプッシュ送信」し、孤立型は「変数を排除」していました。

彼らは全員、自分のシステムを守るための独自の防衛コードを持っていました。

それに対してあなたの持つ受動型は、自分の領域を境界線で区切る、というプログラムが最初から実装されていません。

​そのため、他人の機嫌や、場の空気、理不尽な頼み事といった外部のデータを、あなたの脳内メモリへダイレクトに受け入れてしまうのです。

​あなたにとって、相手の要求を拒否したり、自分の意見を出して衝突を起こしたりすることは、システムを大混乱させる致命的なエラーを意味します。

それならば、自分の意思(リソース)を完全にゼロにして、相手(定型OS)の指示通りに動くプログラムを健気に走らせ続ける方が、その場の通信としてはエラーが起きないため、脳がそちらを自動選択してしまうのです。

​もちろん、あなたのこの「NOと言わない仕様」は、組織やコミュニティにとっては非常に都合が良く、扱いやすい優秀なリソースとして重宝されます。

​だが、この「表面上はエラーなく綺麗に通信が繋がっているように見えるのに、内部では他人のプログラムを動かすためにCPU(脳)が100%で回り続けている」という仕様のねじれが、あなたを最大の悲劇へと追い詰めていきます。

ある日突然、何の前触れもなくシステムが完全にフリーズ(鬱や過呼吸、休職)するという、最悪なクラッシュです。

​これが、定型OSから見れば便利で無害に見える「いい人」の正体です。

しかしあなたにとっては、外部の要求という名の過負荷(オーバーロード)に耐えかねて、内部からシステムが静かに崩壊していくのを止められない、極めて切実な仕様のバグなのです。

​あなたが対話を放棄して、脳内で「強制エミュレート」を走らせる理由

​周りの人は不思議に思います。

「なぜ、そこまで嫌な顔一つせず、他人の意見に従順に従えるのか」と。

自己主張がなくて流されやすいあなたの姿は、周囲の目には、ただ「おとなしくて優しい人」のように見えてしまいます。

​ですが、あなたの脳内で行われているのは優しさではなく、純粋な「対話の放棄と強制エミュレート(擬似実行)」です。

​人間関係において意見が食い違ったとき、定型OS(周囲の人間)は「お互いの理屈をすり合わせる(交渉する)」という複雑なパケット交換を行います。

しかし、あなたの脳にとって、この「相手と自分の理屈の差分を埋める」という演算は、あまりにも難解で、天文学的なCPU(脳)の処理コストがかかる仕様になっています。

あなたにとって、理屈が通じ合わない相手と揉めることは、脳が「これ以上処理できない致命的なシステムエラー」と判定するほどの恐怖を伴うのです。

​ここで深く関係してくるのが、孤立型との決定的な分岐点です。

​孤立型であれば、「意見が合わないなら最初からLANケーブルを抜いて関わらなければいい」と、他人という変数ごとシステムから排除できます。

しかし、学校や職場、家庭といった「どうしてもネットワークから切断することが許されない環境(強制マルチプレイ)」に置かれたとき、あなたは孤立型のように逃げることができません。

​そこであなたの脳が導き出した究極のエラー回避コードが、「自分の理屈(OS)を一時的に消去し、相手の命令をそのまま実行する端末(エミュレータ)になる」という選択でした。

​「どうせ話しても無駄だし、揉めるくらいなら、自分の意思をすべてデリートして相手の意見を丸呑みした方が、トータルの負荷が少なくて済む」

​あなたは納得して従っているわけでも、相手に尽くしたいわけでもありません。

ただ、システムがクラッシュするのを防ぐために、死んだ目で相手のプログラムを擬似実行しているだけなのです。

​あなたの認識は「対話しても無駄だし揉めたら全損する。自分を消して、言われた通りに動こう」ですが、周囲の受け止め方は「いつもこちらの言うことを聞いてくれる。大人しくて本当にいい人だ」という最悪な認識のズレを起こします。

​この、表面上の「通信エラーなし」という一見正常な挙動こそが、最大の罠です。

​あなたの脳内には、丸呑みした他人の理屈や、NOと言えずに引き受けたタスクという名の不快なバグデータが、バックグラウンドでどんどん蓄積されていきます。

周囲からは「喜んでやってくれている」と勘違いされ、さらに過酷な要求(負荷)を上書きされ続けてしまう。

​結果として、あなたは限界を迎えるその一秒前まで「分かりました」と正常な返答を返し続け、ある日突然、内部メモリがパンクして脳が完全にフリーズ(精神的な強制終了)してしまうのです。

​あなたの行動の根っこにあるのは、決して主体性のなさではなく、むしろ「ネットワークを維持するために、自分を犠牲にしてクラッシュを防ごうとする健気で不器用な自己防衛」そのものです。

ただ、その丸呑み仕様のせいで、あなた自身のシステムが静かに崩壊していってしまうのが、このエラーの本当の悲劇なのです。

ハイジャックを未然に防ぐ「アクセス拒否」の生存戦略

​いくらこちらがシステム全損(衝突)を避けるために自分を消去して相手に従っていても、社会はそれを「主体性がない」とバグ扱いし、さらに過酷な要求を押し付けてくる。

この理不尽な現実を前に、あなたは「なぜ波風を立てずに頑張っているのに、自分ばかりが壊れなければならないんだ」と、深い絶望や虚しさを感じているかもしれません。

​その痛みを抱えるあなたに、一つだけ受け取ってほしい生存戦略(ハック)があります。

​それは、この現実世界のコミュニケーションを「相手のプログラムを100%忠実に実行しなければならないゲーム」だと思わないことです。

むしろ、「バグだらけの外部データ(理不尽な要求)に対して、適当なエラーコード(お断り)を返して処理を弾くクソゲー」だと完全に割り切ってみてほしいのです。

​この世界における最大の仕様、それは「一度『分かりました』とインストールした要求は、途中でキャンセルできない(最後まで実行しなければならない)」という点です。

どんなに内部メモリがパンクしそうであっても、一度正常に受信(承諾)してしまうと、社会システムは「このタスクは正常に処理されている」と判断します。

​だからこそ、完全に受信する前の段階で、「アクセス拒否(条件付きのお断り)」という名の変換プラグを、ほんの1枚だけ挟んでみてほしいのです。

​相手のデータがメモリに侵入してくる前に、以下の2つのログ(事実の報告)を淡々と返して、処理をストップさせてください。

  • ​【メモリ不足ログ】:「分かりました。ただ、今は他のタスクでCPU(メモリ)が埋まっているので、来週からでも大丈夫ですか?」(受信を保留にする)
  • 【スペック限界ログ】:「その意見も分かりますが、私のシステム(体調・キャパ)の都合上、今回はお引き受けできません」(処理能力の限界をエラーとして弾く)

​無理に相手と激しく戦え、と言っているのではありません。
熱い議論を交わせ、と言っているのでもないのです。

ただ、「丸呑みして自爆する」前に、「私のシステムは今、そのデータを処理できるスペックがありません」というエラーログを機械的に返すだけです。

​たったこれだけの変換プラグを挟んであげるだけで、あなたのOSは他人のプログラムにハイジャックされなくなり、サイレントフリーズを起こす前に自分を守ることができるようになります。

​世界は理不尽で、NOと言えない人につけ込んでくるクソシステムかもしれません。

ですが、その仕様を理解し、不器用な出力を少しだけチューニングできれば、あなたが優しさの中で摩耗し、突然クラッシュすることは確実に減っていくはずです。

​あなたの調和の才能を、世界をちょっと穏やかにする「ギフト」に変えるために

​最後に、これだけは絶対に勘違いしないでください。

あなたの「周囲の意見を一度受け入れ、全体の波風を立てずに調和させようとする能力」は、決して社会に不要なものではありません。

​誰もが自分のエゴ(尊大型)や興味(積極奇異型)を剥き出しにして衝突し合っているギスギスした社会において、他者を受け入れる広大なメモリ(許容量)を持ったあなたの脳は、この荒れやすい世界にとって、本来はとても貴重でオアシスのようなリソースです。

ただ、これまではその受け入れ方が無制限すぎて、周りのシステムにあなたの領域を侵略されすぎていただけなのです。

​あなたが現実世界というクソゲーの仕様を正しく理解し、ほんの少しのエラーコードを使えるようになったとき、あなたの受動仕様は他人に振り回される弱さではなくなります。

周囲の衝突を静かに和らげ、物事を滑らかに循環させていくための、知的な「ギフト」に変わるはずです。

​あなたの持つその深い受容性が、これ以上あなた自身を破壊する刃になりませんように。

​その不器用な優しさが、正しく世界に届くことを、私はここからずっと応援しています。

【他人の要求によるサイレントフリーズを回避するための『補給物資』】

【初期設定プラグイン】自他の境界線を区切り、脳内へのバグ侵入を防ぐ
『人間関係に「線を引く」レッスン 人生がラクになる「バウンダリー」の考え方』(藤野智哉 著 / ディスカヴァー・トゥエンティワン)

他人の要求や不機嫌を丸呑みし、サイレントフリーズを起こしてしまうあなたに必須の総合セキュリティ書です。
本書は、外部からの過剰な要求を「そもそも脳内に受け取らない」ための境界線の設定方法を伝授。
さらに、つい受信してしまった後からでも、安全に処理を保留し、マイルドに断るためのリカバリ術まで網羅しています。
他人のプログラムにハイジャックされる前に、この軽量で強力な防衛ソフトをOSに実装してください。


【あなたの「バグ」を報告してください】

社会というクソゲーを攻略するためのデータを募集しています。あなたが遭遇した「理不尽な状況(バグ)」を教えてください。私が独自のロジックで解析・デバッグし、攻略データとしてブログで還元します。

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